咀嚼と寿命について|元町歯科診療所のコラム

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コラム

咀嚼と寿命について

前回につづき,「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス」の中から咀嚼機能と寿命の関係の論文をご紹介したいと思います.


Yoshida M, et al.

Eight-year mortality associated with dental occlusion and denture use in community-dwelling elderly persons.

Gerodontology 22:234-237, 2005.


この文献では無作為に抽出した1030名の65歳以上の高齢者を臼歯部の咬合がある,前歯部か臼歯部かどちらかの咬合がある,いずれもない,の3つのグループにわけて生命予後を分析しています.

結果ですが,臼歯部の咬合があるグループはいずれもないグループに比較して死亡率は0.78倍でした.またいずれもないグループをさらに義歯の使用のありなしで分析したところ,義歯のないグループの死亡率は1.52倍でした.

これは高齢者において臼歯部の咬合が存在しなければ死亡率が上昇することを示し,さらに義歯を使用することでその上昇した死亡率を引き下げることができることを示しています.

近年,むせや食べこぼしの増加,滑舌の悪化,噛めない食品の増加などであらわれるオーラルフレイル(≒口腔機能低下症)に対して,行政や医師会,歯科医師会などが主体となって地域保健活動や介護予防事業をおこなっています.

フレイルが進行することで,低栄養が進行し,さらに活動性の低下や筋力や運動機能の低下(サルコペニア)をもたらし,ひいては要介護状態に移行する「フレイルの悪循環」が問題になっています.

われわれ歯科医師が歯を保存することに務めるのはもちろんですが,臼歯を失ってしまったとしても適切な義歯を提供することができれば,フレイルの悪循環から脱却できる可能性があります.

当院でも保険義歯でもより適合のよい噛める義歯を提供すべく,BPSの器材,テクニックをもちいた義歯を作成しています.