口腔癌について|元町歯科診療所のコラム

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コラム

口腔癌について

日本における口腔癌罹患患者数は約8000人であり,全癌中の約1〜2%を占めており,増加傾向にあるといわれています.好発部位は舌で約60%を占めています.

口腔癌と重複する癌としては上部消化管がんや肺がんが多く,重複がんの発生頻度は11.0〜16.2%とされており,その頻度が高いことが特徴です.特に,上部消化管がんが重複することが多いことの説明として,口腔,咽頭,食道,胃は同一の発がん環境にあるとされ,field cancerizationの概念があげられています.そのため,口腔癌が発見された場合,上部消化管内視鏡検査で重複がんの有無を検索する必要があります.

口腔癌の中でも最も頻度が高いのが舌癌です.95%が舌側縁に生じます.ほとんどが扁平上皮癌 (Squamous cell carcinoma; SCC)といわれるタイプの癌です.臨床的には硬結(しこり)をともなう潰瘍型や白斑型,深部硬結型などさまざまなタイプが存在します.

舌癌の治療ですが,早期例には外科的治療あるいは放射線治療,進行例に対しては外科的治療に放射線や抗癌剤を併用した集学的治療によって対応されます.舌の切除術式は舌部分切除術,(可動部)舌半側切除術,舌亜全摘術,舌全摘術に分類され,半側切除以上の切除では遊離筋皮弁などの再建術が一般に必要になります.舌を切除するというと,喋ったり,食事をしたりすることに大きな障害が残るのではないかと心配されることも多いと思われますが,早期がんで舌部分切除術で対応出来るケースではほとんど障害らしい障害は残らないことが多いです.

舌癌は比較的転移をきたすことが多く,その多くは所属リンパ節といわれる頸部リンパ節に転移をきたします.頸部リンパ節に対する治療は原則手術となり,頸部郭清術といわれる手術が選択されます.これは所属リンパ節(頸部リンパ節)と頸部軟組織(深頸筋膜浅層と深層の間に存在する軟組織)を一塊として切除する手術術式で,口腔癌の頸部リンパ節転移に対する最も確実な治療法として広く施行されています.この頸部郭清術もできるだけ機能を温存するように,胸鎖乳突筋,内頸静脈,副神経のいずれか,あるいは全てを温存する保存的頸部郭清術という術式が選択されることが多くなっています.ただし,口腔癌は外科的治療や放射線治療がうまくいっても術後の経過観察期間に再発や他の部位への転移が見つかることも有りますので,術後も一定期間の定期的受診が必要になります.

がんのリスクファクターは飲酒と喫煙です.これは統計的にはっきり示されています.特に喫煙は肺がんや膀胱がん,すい臓がんなどのリスクファクターにもなりますし,歯周炎やインプラント周囲炎のリスクファクターにもなりますので,皆さんには是非禁煙に取り組んでいただきたいと思います.

最後に舌癌の治療成績ですが,早期がんであれば5年生存率 80〜90%と見込まれます.一方進行がんになれば60%程度に落ち込みます.そのため,早期発見が最も重要になりますので,定期的(年に1〜2回以上)に歯科医院での口腔内検診を受けていただくことが大切です.

なお,口腔癌と鑑別すべき疾患として

◯白斑型:白板症,扁平苔癬,慢性肥厚性カンジダ症

◯乳頭型:乳頭腫,白板症,炎症性肉芽腫

◯肉芽型:慢性増殖による腫脹(増殖性炎),炎症性肉芽腫(エプーリス), 特異性炎(結核,梅毒,放線菌症)

◯びらん型 :紅斑混在型白板症,紅板症,扁平苔癬,びらん性口内炎

◯潰瘍型:褥瘡性潰瘍,結核性潰瘍,潰瘍性口内炎

◯腫瘤硬結型:唾液腺腫瘍

などが挙げられます.

 

口腔癌についてご不明な点や心配な点がありましたら,是非受診されてください.